春の大三角形

見つけ方　真冬の寒さは和らいだとはいえ、夜風はまだ冷たい春先の夜に東の空を見てみましょう。しし座のしっぽのデネボラと、純白色が美しいおとめ座のスピカ、それにうしかい座の明るいアークトゥルスを結ぶと大きな三角形ができますが、これを春の大三角形と呼んでいます。これにりょうけん座のコル・カロリーを加えると春のダイヤモンドとなります。
　アークトゥルスとスピカは春の大曲線からたどることができます。
デネボラ　３星のうちデネボラは２等星なので他の２星より１ランク暗い星に分類されます。位置はしし座のしっぽの部分にあたります。そもそもデネボラとはアラビア語でししの尾という意味だそうです。
スピカ　スピカとはラテン語で針とか穂先を意味します。おとめ座の女神デーメーテルがもった麦の穂先に位置しています。明るさは平均的な１等星です。スピカの色は純白で、女性的な輝きを放っています。しかし実態は表面温度が２万度以上もある高温な星で、４日周期で公転するという非常に接近した連星でもあります。しかも赤道付近では秒速２００ｋｍという猛烈な速さで自転しており、このため本体の形はひしゃげた楕円形をしているそうです。おしとやかなスピカの輝きからはその猛烈ぶりな実態はちょっと想像できません。見かけによらないものですねぇ。
アークトゥルス　うしかい座のアークトゥルスはギリシャ語で熊の番人という意味ですが、おおぐま座の後ろをついてまわっているように見えることからこう呼ばれています。アークトゥルスの明るさは０等星ですから、１等星よりも１ランク明るい星に分類されます。ですからアークトゥルスは他の星よりもひときわ明るく輝いて見えます。星の色にも注目してください。スピカは女性的な純白色をしているのに対して、アークトゥルスは男性的なだいだい色をしています。そんなわけで２つの星を「春の夫婦（めおと）星」と呼んでいます。
　アークトゥルスは大きな固有運動を持つ星としても知られています。１年間の間に２．３秒（１秒＝３６００分の１度）も移動するのです。２．３秒といえばごくわずかなように思いますが、長い年月が経つと話は違ってきます。５万年も経つと、なんとアークトゥルスはスピカの隣で輝くようになります。ですから５万年後には両星は名実ともに夫婦となるのです。この様子はつるぷらが描く珍しい天文現象の中にある５００００年後の星座を参照してください。